
花を詠んだ俳句・短歌 2
(奈良、平安、鎌倉時代)
桜 在原業平 (9世紀)
世の中に たえてさくらの なかりせば
春の心は のどけからまし
梅 菅原道真 (10世紀)
東風吹かば にほひおこせよ 梅の花
あるじなしとて 春な忘れそ
柿 正岡子規 (19世紀)
柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺
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万葉集
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在原業平 菅原道真 紀貫之
紫式部 西行 藤原定家
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松尾芭蕉 加賀千代女
与謝蕪村 小林一茶
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正岡子規 高浜虚子
与謝野晶子 石川啄木
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■古事記 712年頃 編纂
(こじき)
のびる(野蒜)
「いざ子ども
野蒜摘みに 蒜摘みに」
古事記 応神天皇
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■在原業平 825年~880年
(ありわらのなりひら)
さくら(桜)
「世の中に
たえてさくらの なかりせば
春の心は のどけからまし」
在原業平
かきつばた(杜若)
「から衣(ころも)
着つつなれにし
つましあれば
はるばる来ぬる
旅をしぞ思ふ」
伊勢物語
在原業平
三河の国(愛知県)の
杜若(かきつばた)の名所の
「八つ橋(やつはし)」で詠んだ。
「か」「き」「つ」「は」「た」の
5文字が、
それぞれの句の先頭にある。
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■菅原道真 845年~903年
(すがわらのみちざね)
学問の神様 北野天満宮
うめ(梅)
「東風(こち)吹かば
にほひおこせよ 梅の花
あるじなしとて 春な忘れそ」
拾遺和歌集
菅原道真
「このたびは
幣(ぬさ)も取りあへず 手向山
紅葉(もみじ)の錦
神のまにまに」
古今和歌集
菅家(かんけ)
= 菅原道真
(すがわらのみちざね)
百人一首(24)
むらさき(紫)
「筑紫にも
紫生うる 野辺はあれど
なき名悲しむ 人ぞ聞こえぬ」
菅原道真
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■古今和歌集
(こきんわかしゅう)
915年頃 編纂
紀貫之など
うめ(梅)
「人はいさ
心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける」
古今和歌集
紀貫之(きのつらゆき)
(866年~945年)
百人一首(35)
さくら(桜)
「久方(ひさかた)の
光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ」
古今和歌集
紀友則(きのとものり)
(845年~907年)
百人一首(33)
「花の色は
移りにけりな いたづらに
我が身世にふる
ながめせし間に」
古今和歌集
小野小町(おののこまち)
百人一首(09)
春の七草
「君がため
春の野に出でて 若菜摘(つ)む
我が衣手に 雪は降りつつ」
(若菜 = 春の七草)
古今和歌集
光孝天皇
(こうこうてんのう)
百人一首(15)
ねじばな(捩花)
「みちのくの
しのぶもじずり 誰ゆえに
乱れむと思ふ 我ならなくに」
古今和歌集
河原左大臣
百人一首(14)
かえで(楓)
「奥山に
紅葉ふみわけ 鳴く鹿の
声きく時ぞ 秋はかなしき」
古今和歌集
猿丸太夫(さるまるだゆう)
百人一首(05)
「山川に
風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ
紅葉(もみじ)なりけり」
古今和歌集
春道列樹
(はるみちのつらき)
百人一首(32)
きく(菊)
「心あてに
折らばや折らむ 初霜の
置きまどはせる 白菊の花」
古今和歌集
凡河内躬恒
(おおしこうちのみつね)
百人一首(29)
まつ(松)
「立ち別れ
いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む」
古今和歌集
中納言行平
(ちゅうなごんゆきひら)
百人一首(16)
「誰をかも
知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに」
古今和歌集
藤原興風
(ふじわらのおきかぜ)
百人一首(34)
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■後撰和歌集
(ごせんわかしゅう)
951年頃 編纂
さねかずら(実葛)
「名にし負はば
逢坂山(あふさかやま)の
さねかづら
人に知られで くるよしもがな」
後撰和歌集
三条右大臣
(さんじょうの
うだいじん)
百人一首(25)
ささ(笹)
「浅茅生の
小野の 篠原 忍ぶれど
あまりてなどか 人の恋しき
後撰和歌集
参議等(さんぎひとし)
百人一首(39)
こなら(小楢)
「楢の葉の
葉守の神の ましけるを
知らでぞ折りし
祟(たた)りなさるな」
後撰和歌集 藤原仲平
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■紫式部 970年頃~1014年頃
(むらさきしきぶ)
きく(菊)
「菊の露
若ゆばかりに 袖ふれて
花のあるじに 千代はゆづらむ」
紫式部
9月9日(重陽の節句)の行事
(ちょうようのせっく)
「菊の被綿(きくのきせわた)」
たちあおい(立葵)
「くやしくぞ
つみをかしける あふひ草
袖のゆるせる
かざしならぬに」
紫式部
源氏物語 柏木
■清少納言 966年頃~1025年頃
(せいしょうなごん)
なでしこ(撫子)
「草の花は、なでしこ。
唐のはさらなり、
大和のもいとめでたし」
枕草子
清少納言
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■拾遺和歌集
(しゅういわかしゅう)
1007年頃 編纂
かえで(楓)
「小倉山
峰のもみじ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ」
拾遺和歌集
貞信公(ていしんこう)
百人一首(26)
やえむぐら(八重葎)
「八重葎
しげれる宿の さびしきに
人こそ見えね 秋は来にけり
拾遺和歌集
恵慶法師(えぎょうほうし)
百人一首(47)
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■後拾遺和歌集
(ごしゅういわかしゅう)
1087年頃 編纂
やえやまぶき(八重山吹)
「七重八重
花は咲けども 山吹の
実のひとつだに
なきぞかなしき」
後拾遺和歌集
兼明親王
(かねあきらしんのう)
さくら(桜)
「高砂の
尾上(おのえ)の桜
咲きにけり
外山(とやま)の霞
立たずもあらなむ」
後拾遺和歌集
権中納言匡房
(ごんちゅうなごんまさふさ)
百人一首(73)
かえで(楓)
「嵐吹く
三室の山の もみぢ葉は
龍田(たつた)の川の
錦なりけり」
後拾遺和歌集
能因法師
(のういんほうし)
百人一首(69)
よもぎ(蓬)
「かくとだに
えやはいぶきの さしも草
さしも知らじな
燃ゆる思ひを」
後拾遺和歌集
藤原実方朝臣
(ふじわらの
さねかたあそん)
百人一首(51)
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■西行法師 1118年~1190年
(さいぎょうほうし)
さくら(桜)
「願はくは
花のしたにて 春死なむ
その如月(きさらぎ)の
望月(もちづき)のころ」
西行法師
「おしなべて
花の盛に なりにけり
山のはごとに かかる白雲」
山家集 西行法師
「吉野山
ひとむら見ゆる 白雲は
咲き遅れたる 桜なるべし」
西行法師
はぎ(萩)
「わけている
庭しもやがて 野辺なれば
萩の盛りを わがものに見る」
西行法師
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■金葉和歌集
(きんようわかしゅう)
1127年頃 編纂
さくら(桜)
「もろともに
あはれと思へ 山桜
花よりほかに 知る人もなし」
金葉和歌集
前大僧正行尊
(さきのだいそうじょう
ぎょうそん)
百人一首(66)
あし(蘆)
「夕されば
門田の稲葉 おとづれて
葦のまろやに 秋風ぞ吹く」
金葉和歌集
大納言経信
(だいなごんつねのぶ)
百人一首(71)
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■詞花和歌集
(しかわかしゅう)
1151年頃 編纂
やえざくら(八重桜)
「いにしへの
奈良の都の 八重桜
今日(けふ)九重(ここのえ)に
匂ひぬるかな」
詞花和歌集
伊勢大輔(いせのだいふ)
百人一首(61)
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■千載和歌集
(せんざいわかしゅう)
1188年頃 編纂
よもぎ(蓬)
「契(ちぎ)りおきし
させもが露を 命にて
あはれ今年の
秋もいぬめり」
(させも=さしも草=よもぎ)
千載和歌集
藤原基俊
(ふじわらのもととし)
百人一首(75)
あし(蘆)
「難波江の 蘆のかりねの
ひとよゆゑ
みをつくしてや
恋ひわたるべき」
千載和歌集
皇嘉門院別当
(こうかもんいんのべっとう)
百人一首(88)
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■金槐和歌集
(きんかいわかしゅう)
1213年頃 編纂
源実朝(1192年~1219年)の歌集
(鎌倉幕府の第3代将軍)
すぎ(杉)
「東路の
関守る神の 手向けとて
杉に矢たつる 足柄の山」
金槐和歌集 源実朝
たけ(竹)
「なよ竹の
七のももそぢ 老いぬれど
八十の千節は 色も変らず」
金槐和歌集 源実朝
こうやまき(高野槇)
「五月雨の
露もまだひぬ 奥山の
真木の葉がくれ
鳴くほととぎす」
金槐和歌集 源実朝
つた(蔦)
「わが恋は
深山の松に 這ふ蔦の
繁きを人の
問はずぞありける」
金槐和歌集 源実朝
ふじばかま(藤袴)
「藤袴
きて脱ぎかけし 主や誰
問へどこたへず
野辺(のべ)の秋風」
金槐和歌集 源実朝
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■新古今和歌集
(しんこきんわかしゅう)
1210年頃 編纂
藤原定家など
うめ(梅)
「大空は
梅のにほひに かすみつつ
くもりもはてぬ 春の夜の月」
新古今和歌集
藤原定家(1162年~1241年)
(ふじわらのていか)
かえで(楓)
「見わたせば
花も紅葉も なかりけり
浦のとまやの 秋の夕ぐれ」
新古今和歌集
藤原定家
「薄霧の
立ち舞ふ山の もみぢ葉は
さやかならねど
それと見えけり」
新古今和歌集
高倉院御歌
ひのき(檜、桧)
「村雨の
露もまだひぬ
槇(まき)の葉に
霧たちのぼる 秋の夕暮」
(槇 =「ひのき」や「杉」
などの総称)
新古今和歌集
寂蓮法師
(じゃくれんほうし)
百人一首(87)
■百人一首
藤原定家(1162年~1241年)が
1235年頃に編纂
こちら → 百人一首
■義経記
(ぎけいき) 源義経の伝記
1400年頃 編纂
おだまき(苧環)
「しづやしづ
賎(しづ)のおだまき 繰り返し
昔を今に なすよしもがな」
義経記 静御前
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俳句・短歌 1 (万葉集)
俳句・短歌 2 (奈良、平安、鎌倉)
俳句・短歌 3 (江戸、明治以降)
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